主な病気について 中枢神経系
 ■ 睡眠時無呼吸症候群
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監修:医)三喜会 有楽橋クリニック 
鐘ヶ淵クリニック 
院長 林 泰 先生 
 ■ 睡眠時無呼吸症候群
 
   鼾(いびき)が止まってそのまま死ぬかと思ったと家人に言われて受診される方がいます。これは今話題の睡眠時無呼吸症候群の症状と考えられます。ヒトの睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分けられ、健康な人は1晩に約90分周期でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。睡眠時無呼吸症候群は1晩7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸があり、その幾つかはノンレム睡眠期にも現れるもの、または、睡眠1時間あたりの無呼吸回数が5回以上の場合と定義されています。

 睡眠時無呼吸は7-8割が肥満の人、鼾は必発、日中の堪え難い眠気と居眠りが症状で、他人によって睡眠時の呼吸停止が観察されます。閉塞型睡眠時無呼吸症候群は上気道の閉塞によって無呼吸や低呼吸が起きるために発症します。閉塞の原因は肥満に伴う上気道軟部組織への脂肪沈着、上気道筋の活動度の低下、扁桃肥大、鼻中隔彎曲症などです。症状は鼾、不眠症、日中の眠気や居眠りの他、労作時の呼吸困難、高血圧、起床時の頭痛、知性の低下、不整脈、浮腫などがあります。

  閉塞型睡眠時無呼吸症候群は脳血管障害のリスクが10倍以上高まるとされています。厚生労働省研究班の調査で、睡眠1時間当たりの無呼吸数や低呼吸数が20回以上の場合、5年生存率が84%と報告されています。心肺機能に負担がかかり、脳の酸欠を招き、脳梗塞や心筋梗塞で睡眠中や明け方に死亡する例が多いとのことです。実生活では交通事故、災害事故などを引き起こし、社会的不適応、失業など経済的問題、家庭内不和、不登校、いじめの原因にもなっています。

 簡易診断法では手指動脈血の酸素濃度を経時的に測定できるパルスオキシメーターを装着して眠り、定期的に低酸素状態になっていることを確認します。確定診断は脳波、筋電図、眼球運動などを同時に記録できる終夜睡眠ポリグラフィーを記録し、その他に呼吸パターンを気流センサー、腹部バンド、パルスオキシメーターなどでチェックします。この検査は不眠症専門のクリニックなどで行っています。

 治療法は生活習慣の改善、仰向けを止めて横向きで寝る、枕を低くする、アルコールを控える、減量をする、睡眠薬や筋弛緩剤を控えるなどです。ダイアモックスの効能効果に睡眠時無呼吸症候群が記載されています。用具を使う方法として経鼻的持続陽圧呼吸法、マウスピースなどがあり、症状が重い場合には、アデノイド、扁桃腺肥大切除術、口蓋垂を含めた軟口蓋の切除術を行う場合もあります。
 
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