主な病気について 中枢神経系
 ■ 痴呆・脳血管性痴呆
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監修:医)三喜会 有楽橋クリニック 
鐘ヶ淵クリニック 
院長 林 泰 先生 
 ■ 痴呆・脳血管性痴呆
 
 我が国は世界に例のない高齢者社会になり、痴呆対策は重要な問題となってきました。介護保険制度が導入され、痴呆の人たちが共同で生活するグルーピングホームなども導入されていますが、未だ不備な点が多く、実際に運用するには問題があるようです。核家族化の影響で、70歳以上の高齢者が夫婦2人だけ、あるいは独居している家庭はかなりの数に上っています。また、病人を介護するのが60歳以上の娘さんやお嫁さんなどの女性が主です。

脳血管性痴呆
 脳血管性痴呆は我が国では老年期痴呆の過半数を占め、社会の高齢化に伴い、これからも増加することが予想されています。血管性痴呆の大部分は、虚血性脳血管性痴呆で、大梗塞、認知機能に関係している部位の梗塞、多発梗塞性痴呆、境界領域梗塞による痴呆などに分けられます。

 症状は斑状(まだらじょう)の機能低下(脳梗塞を起こした神経系だけの機能低下のため、一見したところでは正常にみえることも多い)が特徴で、人格はあまり変わらず、自分が痴呆になってしまったという病識があります。愛想は良く、挨拶をしたりしますが、今のことをすぐに忘れてしまったり、計算が出来なかったりします。その他に、脳梗塞による片麻痺や尿失禁、情動失禁、易興奮性も見られます。また、日によって良くなったり悪くなったりの症状の動揺性も認められます。

脳血管性痴呆は大脳前頭葉の梗塞で起きるので、その予防は脳梗塞にならないようにする事です。脳梗塞の危険因子は高血圧、糖尿病、心電図異常、肥満、高脂血症、喫煙、飲酒の習慣などです。脳梗塞の再発予防には高血圧の治療が一番重要です。さらに、血小板機能亢進、凝固系機能亢進などの治療もします。リハビリテーションの早期開始も脳の刺激にもなり、重要なことです。

 脳血管性痴呆では、しばしば片麻痺や仮性球麻痺による嚥下障害を合併します。転倒や誤嚥に注意が必要です。

 家庭内での適切な温かい看護が望まれますが、中等度以上では嚥下障害、せん妄状態が強く、寝たきりで老健施設の入所などが必要な場合もあります。薬剤は脳代謝改善薬、情動改善薬などを用います。
 
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