主な病気について 呼吸器系
 ■ アルコール誘発喘息
 HOME > コラム・情報コーナー >主な病気について「アルコール誘発喘息」
監修:医)三喜会 有楽橋クリニック 
鐘ヶ淵クリニック 
院長 林 泰 先生 
 ■ アルコール誘発喘息
 
 アレルギー疾患の代表とされている気管支喘息の症状が飲酒によって悪化する場合があります。喘息患者さんのアンケートで喘息発作が誘発される要因として一位が風邪、次が飲酒という報告もあります。アルコールは肝臓でアルコールデハイドロゲナーゼ(ADH)という酵素の働きによってアセトアルデヒドに代謝されます。アセトアルデヒドは、さらにアセトアルデヒドデハイドロゲナーゼ(ALDH)という酵素の作用で酢酸に代謝され、代謝された酢酸は炭酸ガスと水に分解されます。

 日本人の半数は遺伝的にこのALDHの活性が低いのですが、このALDHの活性が低い喘息患者では、酢酸への代謝が進みにくくアセトアルデヒドの血中濃度が上昇します。このアセトアルデヒドは肥満細胞からヒスタミン遊離を促進するため、気道が収縮して喘息発作を誘発してしまいます。

 アルコールを飲むことによって喘息発作が誘発されたり、顔面紅潮、動悸、吐き気、眠気などの症状が出たりする人は遺伝的にALDH活性が低いという可能性があります。この様な人は採血時に腕をアルコール綿で拭いたときに赤くなることもあります。喘息予防のためにはアルコールを控えることが望ましいのですが、ブランデーケーキ、ワインゼリーだけでなく、チョコレートケーキ、スポーツドリンク、健康飲料、栄養ドリンクなどにも密かにアルコールが使われていることが多いので注意が必要です。

 また、この様な素因がある人が気管支炎などの治療薬としてセフェム系の抗生物質を処方されているときに飲酒するとALDH活性がよりいっそう低くなり、喘息発作を誘発することもありますから注意が必要です。
 
Copyright(c)2003 doctors-search.com All Rights Reserved.